新しい多焦点眼内レンズの一つ。Vivityの勉強会

先日、新しい多焦点眼内レンズの勉強会がありました。

多焦点眼内レンズというのは、白内障の手術の際に眼内に移植するレンズです。

基本的に、

「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」というのがあります。

詳しくは、こちら⇒当院のHPの『日帰り手術』

 

Clareon® Vivity®は、アルコンというメーカーさんが開発した

新しい多焦点眼内レンズです。

当院でも取り扱いしております。

この多焦点眼内レンズは、従来の多焦点レンズに適していない患者さんにも

新たな選択肢となる可能性があると言われるレンズです。

以下は、勉強会にて頂いた資料の抜粋(一部改変)になりますが、

特徴として、

1.優れた遠方・中間および実用近方視が可能となりました。

★★距離による見え方の特徴★★

・・・Vivity🄬は、単焦点眼内レンズと同等の優れた遠方視力と、単焦点眼内レンズより快適な中間距離・実用的近方視が可能となりました。

写真資料はイメージ画像ですが、隣のグラフ資料を見ると、見る距離と視力の関係が示されています。

解読していくと・・・、

遠方視力は、単焦点眼内レンズの方がわずかに視力は良い。

Vivity🄬の遠方視力は、単焦点眼内レンズに勝る事は無いものの、

日常的には不自由がない程度の視力が出ている。

グラフの中で「-1D」と書いてあります。これは距離の逆数を度数で表しているのですが、

要するに『目の前1mぐらい先』という意味です。

「-2D」「-2.5」というのは、『目の前50㎝』『目の前40㎝』という意味になるのですが、

目の前1mから目の前40㎝ぐらいの見え方は、単焦点眼内レンズよりも

Vivity🄬の方が快適な見え方になる。・・・という事が判ります。

つまりこのグラフが示す意味は、

『運転やスポーツは、普通に見ることができる。

目の前66㎝から近い距離は、単焦点眼内レンズより見えやすいので、

パソコン作業やキッチン仕事なども不自由は少ない。

読み書きそろばんで使う目の前40㎝ぐらいの距離の見え方も快適なことが多く、

それより近い距離の場合は、老眼鏡装用の頻度が増えそう。

それでも単焦点眼内レンズより見え方の質が悪いという事はない』

という事だと思います。

日常において『目の前40㎝よりも近い距離で物を見る』事がどれだけあるかは

個々のライフスタイルによるかもしれません。

 

★★周囲の明るさによる見え方の特徴★★

・・・多焦点眼内レンズの種類によっては、明るい場所では比較的はっきり見えるのに対し、

暗い場所では見えにくいというような『見え方の差』を感じるものもあります。

これらは、瞳孔(くろめ・瞳)の大きさが変わることで生じるのですが、

Vivity🄬では、明るい場所と暗い場所の見え方の差が軽減されます。

 

2.ハロー・グレアやコントラスト感度低下の改善

★★多焦点眼内レンズの光に対するデメリットが、

単焦点眼内レンズと同レベルにまで軽減★★

・・・単焦点眼内レンズと比較して、多焦点眼内レンズでは、ハロー・グレアといった

特殊な光の拡散を感じることがあります。

その為、夜間の運転などの際に、対向車のヘッドライトの光が眩しく感じたり、

光の大きな環を感じたりして違和感がありました。

勿論、ほとんどの方が気にならない程度に慣れてくると言われますが、

中には違和感が残って、夜間運転を苦痛に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

現代社会において、自動車運転は日常生活と切り離せない事も多く、

今までの多焦点眼内レンズの弱点でもありました。

上の写真も勉強会でいただいた資料の一部ですが、

Vivity🄬の見え方と単焦点眼内レンズで、夜間風景の見え方の違いはほとんどありません。

スピードメータの見え方は、Vivity🄬の方がくっきり見えるように思います。

※因みに、今までの多焦点眼内レンズのハローグレアについては、

こちら⇒当院のHPをご参照ください。

 

★★コントラスト感度の低下がもたらす「かすみ感」が軽減します★★

・・・多焦点眼内レンズにみられるコントラスト感度の低下という弱点を

Vivity🄬の新しいテクノロジーが解消し、

ハローグレアやコントラスト感度の低下を単焦点眼内レンズと同程度まで軽減したことで、

夜間に物を見る環境が、より快適に整うようです。

下の写真を見ると、左の2つは、真ん中の光点の周りに狭い範囲、または広範囲に

雲か霧のような光の滲みがあります。

これらは、今までの多焦点眼内レンズの光のにじみのイメージ画像です。

右の2つにもわずかに光の滲みはみられますが、あまり大きく広がっていません。

これらは、単焦点眼内レンズと、青色で囲まれたVivity🄬のイメージです。

この画像からもVivity🄬は、多焦点眼内レンズであるにもかかわらず、

ハローグレアが抑えられ・コントラスト感度の低下が、あまり起きないことが判ります。

3.波面制御Technologyという最新技術

今までの2焦点眼内レンズを代表とする多焦点眼内レンズでは、

遠見と近見は快適な見え方でしたが、その間(中間距離)に見え方の落ち込み(視力低下)を

感じる事がありました。

Vivity🄬は新しいテクノロジーによって

遠方・中間から実用近方まで、途切れの無い連続した焦点を作り出すことができました。

これにより、距離による視力の落ち込み(低下)のない遠方から実用近方までの視線移動に

スムーズな対応が可能になります。

 

というような感じで勉強会で沢山の情報を教えて頂いきました。

メーカーさんのお話を聞く限り、多焦点眼内レンズの進化は止まりませんね。

 

尚、術後の見え方に関する事は、担当医やスタッフにご相談ください。

白内障以外に眼の病気がある場合や、乱視がある場合、

高齢など年齢的な各種身体的変化の有無によっては、

見え方が不安定になることもあります。

眼の具合によっては、多焦点眼内レンズをお勧めしない場合もあります。

多焦点眼内レンズについてご相談ご希望の場合は、遠慮なくお声がけください。

 

ORT385

※眼内レンズの選択は、ご本人様による担当医との相談、並びに担当医の医学的判断の上で決定されます。また、実際の手術は、いろいろな医学的根拠(エビデンス)に基づいた工夫がなされます。資料通りの見え方になるとは限りませんし、それ以上に快適な見え方になることもあります。